特注スタイラス設計のポイント

必要な仕様を決める

スタイラスを特注するにあたっては、まず測定したいものに干渉しないかどうか、十分に寸法や形状を検討して下さい。特注品は注文後のキャンセルができません。

仕様が決まれば、標準品で使えるものがないか十分にリサーチしてください。ネジ径が同じであれば他メーカー仕様のものでも使える場合があります。特にitpのスタイラスはメーカー品のラインナップにない寸法のものも多数ご用意しております。

標準品でも適当ものがなく、特注するしかない場合は新たにデザインすることになります。先端球径、シャフト径、ベース径およびねじ径、測定長さ、全長といったパラメータを決めてください。測定対象によっては先端球や軸の材質選択も重要なポイントです。

ネジ径によっては測定長さが決まれば全長が決まってしまう場合もあります。基本的な寸法が決まれば後はitpにお任せ下さい。かんたんなイラストでも寸法値だけでもお知らせいただければ専門のスタッフがメーカー仕様に準じて細部を設計します。お見積りは無料です。

メーカー仕様の違いについて

スタイラスやパーツの仕様は各メーカーによって違いがあります。また同じメーカーでも製造時期や型番の違いによって仕様の違うものがあります。各部の詳細な仕様について知っておく必要があります。

ベース部

ベース部のネジ径はM2、M3、M4、M5がほとんどですが、M6やM8を使用する場合もあります。一部例外を除きピッチは並目ですので、ほとんどのメーカー間で共通です。ネジの根元にストレート部分があるなど特殊なものは通常のネジでは長さが足りないため取り付けできません。その他一部の真円度計ではM3やM5を使用しますので流用可能ですが、加工機用のM3はネジの長いものなどありますので仕様の確認が重要です。ダイヤルゲージ用等のM2.5は特注対応可能ですが、M1.7以下のものは製作できません。

ベース部の外径DGはネジ径によって決まります。一部メーカーごとにDGが違うパーツもあります。例えばM5ネジのスタイラスでは、ツァイス/東京精密が11mm、レニショーが10mm、ライツが12mmとなっています。他はほとんどの場合M2は3mm、M3は4mmまたは5mm、M4は7mmになっています。DGを超えるシャフト径の指定はできません。

スタイラスの固定方法は、ほとんどがピンレンチを差し込んで回すようになっています。これもメーカーによってピン径が違うものがありますので、できればピンの外径を調べておくといいでしょう。

ベース部の材質はステンレススチールまたはチタン合金です。

シャフト部

英語圏ではステムとも呼ばれます。ある程度決まった直径DSのシャフト材があり、先端球の直径DKによって最適なものを選ぶようになっています。スチールシャフト以外はシャフト材のラインナップにないDSの指定はできません。

DSが小さい場合などはシャフトの途中で段つきになっているものがあります。DS1/DSと書かれているタイプは段つき部の外径です。この場合測定長さもML1/MLというように段つきまでの長さML1が併記されます。

この測定長さMLは、シャフトの付け根から先端球の先端までになります。他社の表記では球中心までの場合がありますからご注意ください。また「実効長さ」はベース部のテーパー途中で先端球の径と同じところからの長さです。レニショー仕様のスタイラスについてはカタログに表記しています。

シャフトの材質は超硬合金のほかセラミック、ステンレススチール、カーボンファイバーがあります。必要とされる強度、温度環境、耐荷重を考慮して選択します。

先端球

先端球の直径はDKで表されます。シャフトとの接着は面接着と差し込み式接着があります。面接着はどのような径、材質の先端球でも取り付けられますが、差し込み式は先端球に深い穴をあけて、シャフト先端を差し込んで接着するため接着面積を広く取れる分確実に接着できます。DK0.5以上で差し込み式接着が指定できます。(DK0.5はオプション)

先端球の材質は通常ルビーですが、シリコンニトライド(窒化珪素)やジルコニア、超硬合金(タングステン・カーバイド)、セラミック、クロム鋼、デルリン樹脂などがあります。用途や直径によっては材質が変わる場合があります。

その他のパーツ

スタイラス以外にも、角度をつけるための特殊なホルダや長さの違うエクステンションといった周辺パーツのカスタマイズも可能です。製造実績のあるパーツについては比較的納期も短く製造できますので、まずは気軽にご相談ください。